戒名を付けるのはなぜ?いらない場合は付けなくても大丈夫?詳しく解説
亡くなったあと、戒名を付けてもらうことがあるかと思いますが、戒名とはそもそも何か、どんな意味があり、なぜ付けてもらうものなのかご存知でしょうか。
このブログでは、戒名の意義や由来、さらには階級について解説していきます。
目次
戒名とは 歴史と文化的な背景や重要性
戒名(かいみょう)は、仏教の伝統に根ざした日本の習慣であり、個人が死後における仏教的な名前を指します。
戒名は、仏の世界における故人の名前ということになります。
これは、その人の修行や功績を称え、死後の世界での安息や成仏を祈るために与えられます。
戒名は、日本の仏教の流派によって異なる伝統や慣習を持っていますが、一般的には仏教の教えや教派に基づいて決定されます。
また、戒名はその人の人生や功績を称えるものであり、死後の世界での安息や成仏を祈るために大切な役割を果たします。
戒名の歴史は古く、日本における仏教の伝来とともに始まりました。
仏教が日本に伝わる過程で、戒名の習慣も伝わりました。
もともと、戒名は戒律を守り、仏道修行に入った出家者だけに贈られるものでした。
亡くなった人に贈られる名前のように考えられがちですが、本来の戒名の意味としては、戒律を守り仏弟子となった証として付けられるものなのです。
現在では出家していない一般の人でも授かることができ、また死後に授かる形が一般的になりました。
なぜ戒名を付けてもらうの?
故人に戒名を授けてもらう理由としては、出家していない人でも迷うことなく極楽浄土へ行くためと言われています。
仏教では、戒名を授けてもらい戒名で葬儀を行うと、迷うことなく極楽浄土に導かれると考えられています。
ですが、宗派によっては戒名とは呼ばない場合があるのでご紹介します。
◇浄土真宗
浄土真宗においては、そもそも戒律が存在しないため、仏弟子の証である戒名は存在しません。
仏様の教えを守って生きていく誓いとして、代わりに「法名」が授けられます。
また、浄土真宗においては、阿弥陀様を信じれば死後すぐに極楽浄土に至ることができるという考えから、他の宗派のように死後の冥福を祈る慣習も基本的にありません。
そのため、他の宗派では戒名が書かれた位牌を作り、位牌を長く供養していきますが、浄土真宗の法名は「法名軸」や「過去帳」といったお仏具に記す形で用いられます。
◇日蓮宗
日蓮宗では、お釈迦様が説かれた教えである「法華経」を大切にしていることから、戒名ではなく「法号」もしくは「日号(にちごう)」と呼ばれています。
意味自体は戒名と同様で、仏教の戒律を守って生きていく証としての名前です。
戒名の構成や位について
基本的には戒名や法名は二文字で表されます。
どんなに身分の高い人でも二文字で、仏教の世界は平等であることが表現されています。
一般的に「戒名」と言うと、お位牌に書かれている文字全体を戒名と呼ばれる傾向にありますが、本来の戒名は二文字のみです。
そこに4つの「号」が組み合わさって最終的に1つの名前(6~10文字程度の漢字)となっています。
4つの「号」というのが、「院号」「道号」「戒名」「位号」です。
「院号」と「位号」には、仏弟子の位階や性別を表す文字があり、それによりランク(位)や文字数が変わります。
◇院号・院殿号
院号(いんごう)および院殿号(いんでんごう)は、日本の歴史や仏教文化において、皇族や菩薩、高僧などの尊称として用いられる称号です。
戒名の最高ランクは、「院殿号(いんでんごう)」に次いで「院号(いんごう)」となります。
院号・院殿号は、戒名の一番上に付く位で、院号は「〇〇院」(3文字)、院殿号は「〇〇院殿」(2文字)の形で表記されます。
院号や院殿号は、元々は身分の高い方にのみ授けられていたものであるため、現在でも、生前に菩提寺や宗派に対して大きく貢献したり、社会的に高い貢献をした人に付けられる場合が多いです。
戒名料を多額におさめたからといって必ず付けてもらえるわけではありません。
◇道号
道号(どうごう)は仏道を極めた僧侶につけられる尊称です。
分かりやすい言葉で言うならば、号や字(あざな)にあたるものとなります。
院殿号・院号の次に付くか、院殿号・院号がない場合は一番上にくる号となります。
近年では、故人の人となりを表す部分とされていて、場所や地域名故人の生前の趣味や性格、場所や地域名などの特徴を表す漢字を道号でつけられる傾向もあります。
道号は、水子・幼児・未成年者にはつけません。
また、浄土真宗の場合は道号はありません。
◇位号
位号とは戒名の下に付けられている「居士」や「大姉」という文字のことです。
戒名全体の一番下につく号で、仏教徒での位(ランク)を表し、性別や年齢などで名称が分けられています。
男性は侍を表す「士」という字が付き、女性は姉・女性を表す「女」という字が付きます。
基本的には「信士(しんじ)」「信女(しんにょ)」を授かることが一般的な位号とされています。
●成人男子
大居士・居士・清信士・信士など
●成人女子
清大姉・大姉・清信女・信女など
●子供(15歳くらいまで)
童子・大童子・童女・大童女など
●子供(4、5歳以下)
幼児・嬰児・幼女・嬰女など
戒名の付け方
お寺によって違いますが、戒名は菩提寺のご住職に授けられるのが一般的とされています。
特に菩提寺をお持ちでない場合は、葬儀に来て下さったご住職に依頼することも出来ます。
戒名は、寺院に対する功績やお布施の金額、社会的貢献度など、生前の故人の人となりなどを反映して授けられるものです。
一般的には、ご住職が故人の性格や人柄、趣味や職業などの生前の話を伺ったうえで、故人の人柄に合った文字を用いて付けてもらいます。
そのため、ある程度の希望は反映されますが、自分の好きなようには付けることは出来ません。
また、宗派によっても付け方が決まっています。
戒名をご住職につけてもらうには、お布施(戒名料)をお渡ししなくてはいけません。
戒名料は、院殿号や院号が入っている戒名など、位が高い戒名ほどお布施の相場は高額となる傾向にあります。
また、宗派や地域によっても戒名料の相場は異なります。
とはいえ、お布施とはそもそも感謝の気持ちをお包みしてお渡しするものなので、相場を調べたうえで、自分たちにとって無理のない範囲でお渡しするのが良いでしょう。
相場が分からなくて不安な場合は、菩提寺に確認したり、石材店に相談してみましょう。
戒名がいらない場合は付けなくてもいいの?
結論として、戒名は必ず付けなくてはいけないものではありません。
お墓参りに行くと、お墓の墓石の側面や墓誌に、ご先祖様のお名前が戒名で彫られているのを見かけることが多いかと思います。
以前は、亡くなった後は戒名を付けてもらうことの方が多かったため、墓所に刻まれる名前も戒名の場合の方が多く見られました。
故人を連想できる良い戒名をもらうことが出来た、と仰るご遺族もたくさんいます。
ですが、近年は、仏教によるお葬式や仏の世界に入るための名前である戒名をもらうということに疑問を感じている方が多いようです。
また、戒名を授かることによる費用に抵抗のある場合もあるようです。
戒名を付けてもらうには戒名料がかかり、家族にとっては経済的な負担となるため、生前から戒名は要らないと考えている方が増えています。
近年の社会の変化に伴って、戒名を付けるかどうかは、自分たちで選択できる時代となっているということです。
ただし、宗教・宗派や、地域によってそれぞれのやり方があるので、事前に確認しておく必要があります。
関連記事 お墓の戒名彫刻について
おわりに
戒名は、死後の仏の世界における故人の名前として、以前は付けてもらうことが一般的と考えられていました。
ですが、近年の葬儀やお墓の在り方などの考え方の変化に伴って、戒名についても自分たちで選択できる時代となっています。
宗教・宗派や地域によってさまざまなやり方があるので、家族と相談して、自分たちに合った選択をするようにしましょう。
また戒名を付けてもらう場合は、故人の人柄が反映された戒名を付けてもらえば、位などはそこまで気にしなくて良いかと思います。
故人のために戒名を付けてもらうという行為自体が、故人への感謝の気持ちや供養の表れとなります。
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