実は縁起がいい 寿陵(生前墓)のメリットやお参りについて知ろう
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現代社会において、自分の人生の終わりをどのように迎え、どのように記憶されたいかを考える人が増えています。
このような考えの一つとして、生きているうちにお墓を建てる人も多くなってきています。
今回は、生きているうちにお墓を建てる「寿陵」の意味や、メリットなどを解説していきます。
目次
寿陵(生前墓)とは何か
寿陵(じゅりょう)とは、生きている間に自分のお墓を準備すること、またはそのお墓自体を指します。
生前墓と呼ばれることもあります。
朱色で名前や戒名が刻まれているお墓を見たことがあるかもしれませんが、これは寿陵のお墓です。
寿陵の「寿」という文字は、「じゅ」と読んで、長寿・長命など、命を長らえるという意味で使われています。
また、おめでたい祝いごとを表す「ことぶき」とも読む文字です。
寿陵の「陵」の字は、「みささぎ」と読み、中国では「皇帝の墓」という意味で古くから使われてきました。
日本でも天皇の墓を「御陵」と呼んでいます。
寿陵は縁起が悪い?
生きているあいだにお墓を建てると早死にする、または悪いことが起きる、というように、生前にお墓を準備することは縁起が悪いと考える声を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
お墓のイメージを聞かれると『死』と思い浮かべることから、縁起が悪いと連想されてしまう人もいるかもしれません。
しかし、実際にはこれらは迷信です。
「寿陵」という字からも分かるように、家に幸せをもたらし、長寿が約束されると言われ、実際には縁起のよいものなのです。
仏教の教えにおいても「寿陵」を建てることは「逆修=生前、自分のために仏事を営み、冥福を祈ること」という教えがあり、それを為すことによって功徳がもたらされると言われています。
そして、その功徳は子から孫へと残すことができ、未来への繫栄と幸福につながると考えられています。
このようなことから、本来、寿陵墓(生前墓)とは縁起の良いものなのです。
また、自分が好きな霊園に墓地を購入し、好みの墓石でお墓を建てることもできるので、近年では終活の一環として寿陵を建てる人も多く、ポジティブに捉えらている傾向の方が多いようです。
寿陵のメリット
生前に自分のお墓を決めておくことは、縁起が良いとされるだけでなくいくつかの大きなメリットもあります。
◇自分で納得のいくお墓選びをすることができる
寿陵では、霊園を選ぶところからお墓の場所やデザイン、そして供養の方法まで、全てを自分で決めることができます。
生前に自分の好きな言葉を墓石に彫り込んだり、好きなデザインの墓石にしたり、自分が気に入った霊園を選んだりすることもできます。
亡くなる前に希望のお墓を家族に伝えておいたとしても、必ずしも伝えていた通りの思い通りのお墓が作られるとは限りません。
生前に建てることで、自分らしいお墓を準備することができます。
◇家族への配慮
寿陵を生前に準備することは、家族への負担を減らすことも出来ます。
亡くなった後、残された親族が葬儀や法事の手配、遺品の整理、遺産相続の手続きなどを進めながら、同時進行で霊園や墓石のデザインなども決めていかなくてはいけません。それにはかなりの時間や費用が掛かっていきます。
自分の死後、お墓の場所選びや費用の心配を家族に残さないようにすることで、そういった家族の負担を軽減することが出来るメリットがあります。
また、自分の意志で供養の方法を決定しておくことで、家族や親族間での意見の相違によるトラブルを避けることもできます。
◇経済的な計画性
生前にお墓を準備することで、お墓にかかる費用を計画的に準備することができます。
これにより、経済的な負担を分散させることが可能となり、将来への不安を減らすことができます。
また、お墓の価格が将来上昇する可能性を考慮すれば、早期の購入は賢明な経済的選択と言えるでしょう。
◇相続税の対策になる
お墓は祭祀財産の一つです。
課税の対象にはならず、相続の際にも相続税はかかりません。
また、不動産取得税や固定資産税もかかりません。
親が寿陵墓を建てておけば、相続の時に墓地代は除外することができるのです。
お墓を建てる予定だった現金をお墓に変えてしまうことで、相続税の対象額が減らせます。
家族が支払う税金を少なくするためにも、寿陵を検討してみましょう。
寿陵を建てるとき注意点
寿陵を建てるときに、注意しておかなくてはいけない点もいくつかあります。
◇生前にお墓を建てられるか霊園の条件を確認
公営墓地にお墓を建てることを考えている方は、生前墓を建てられるか注意が必要です。
多くの公営墓地は、入れるべき遺骨がすでにあることを応募条件にしているためです。
入れるべき遺骨がない場合は、公営霊園に申込みができなくなってしまいますので、事前に条件を確認しておかなくてはいけません。
◇お墓参りに来る人や、後のことも考えて決めていく
寿陵の場合、自分の好きな霊園を選び、好きなデザインやお墓を建てられるというメリットがありますが、お墓参りに来る人のことも考えて霊園を選ぶことも忘れないでおきましょう。
あまりにも遠いところにお墓を建ててしまうと、お墓参りに行く家族の負担となってしまいます。
また、自分一人だけのためのお墓の場合は、自分の好きなデザインで決めて問題はありませんが、後々子供や孫なども入ってもらいたいと考えて建てる場合は、寿陵で自分の好きなデザインを選べるとはいえ、家族の意向なども考えて決めて行くことも大切です。
家族の意見も聞きながら、自分の納得のいくお墓を建てていくことが一番重要です。
◇承継者への負担が大きくならないか
寿陵を建てるときには、お子様など承継者への負担がかえって大きくなってしまわないかも重要です。
寿陵を建てるときには、必ず承継の可能性のある方に、継ぐ意思があるかどうか確認しておきましょう。
承継に不安がある方の場合は、はじめから承継者の必要がない永代供養墓などを選ぶと良いでしょう。
寿陵にも開眼供養は必要?
一般的には、墓石を建立したら、まず墓石に魂を入れるための「開眼供養」を行います。
お墓に限らず、仏壇や位牌などもすべてこのような儀式をすることで、「モノ」から「魂の宿った存在」になります。
つまり、開眼供養をしない墓石は、ただの石に過ぎないということです。
寿陵墓の場合も、亡くなった後に建てられたお墓と同じように、僧侶に開眼(入魂)のお経を唱えていただき、魂を迎え入れることが必要です。
開眼供養は、通常お墓を建てたときに行うのが一般的ですが、寿陵の場合は必ずしも一緒にしないといけないわけではありません。
しかし、亡くなってから家族が慌てないで済むよう、事前に家族に相談しておくと良いでしょう。
また地域の風習や宗派によってはそれぞれのやり方がある場合もあるので、住職へ相談したりしておくと良いでしょう。
彫刻は赤字にするべき?
赤字になっている部分は、一般的に戒名(特に生前戒名)や建立者の部分が多いかと思います。
お石塔の背面には、一般的には建立者の名前と日付を彫刻されることが多いです。
その建立者の文字が赤いのは建立者がまだ生きていることを示します。
そのため建立者が赤くなっている墓所は、寿陵墓であることが多いです。
また、戒名が赤字になっている墓所も見かけることもあるかもしれません。
亡くなった後に戒名を僧侶によってつけられた場合、戒名は赤字にはなりません。
一方で生前戒名の場合は赤字になります。
生前戒名が赤いのは、建立者同様に、生前戒名を与えられたものが生きていることを示します。
赤字になっている墓所の場合は、建立者の彫刻も、生前戒名の彫刻も、その方が亡くなってから赤字を抜く必要があります。
しかし、必ず赤色を入れなければならないというものでもありません。
決まりはないので、家族それぞれのやり方で良いということです。
また、昔は寿陵墓の彫刻は赤字にすることのほうが多かったのですが、最近は赤字を入れないことの方が多くなってきています。
彫刻に赤を入れるかどうかは、それぞれの家族の考え方や地域のしきたりなどにもよって変わってくるので、事前に相談して決めた方が良いでしょう。
必ずしも赤色にしなくてはいけないという決まりはないということです。
寿陵のお墓にお参りは必要か?
開眼法要を済ませてるお墓の場合は、すでにお墓となっています。
お彼岸やお盆などにはお参りにいくことをおすすめします。
どなたも埋葬されていないお墓でも、やはり雨風などによってお墓は汚れがついていたり、雑草が生えてきています。
そういったお墓の状況を確認するためにも、お墓参りに行き、墓石が汚れたり傷んだりしていないかをチェックし、お掃除することをおすすめします。
おわりに
寿陵は、自分や家族にとって最適な供養の方法を生前に準備することで、死後の不安を和らげることができます。
生前にお墓を準備することは、終活の一環として、自己決定の権利と家族への愛情の表現と言えるでしょう。
ただし寿陵として建てる場合でも、自分ひとりのお墓ではなく家族にとってのお墓になります。
きちんと家族内で話し合い、納得と理解を得たうえでお墓を建てるようにしましょう。
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大切な方々と共に、ご先祖様と、これから繋いでいく家族のために最善のお墓・供養の形を選択していただけばと思います。
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