墓じまいについて考える メリット・デメリットや必要性について
時代の変化と共に、私たちの生活様式や価値観も変わります。
この流れは、私たちが故人を偲ぶ方法にも影響を与えており、近年では「墓じまい」という選択をする家族が増えています。
かつては想像もしなかったこの選択が、なぜ今、多くの人にとっての選択肢となり得るのでしょうか。
今回は墓じまいを考える際のメリットとデメリットについてや、墓じまいの必要性や注意点などをご紹介します。
目次
墓じまいとは なぜ増えているのか
墓じまいとは、既存のお墓を撤去し、墓地を更地にして管理者へ返すことです。
墓地に埋葬されていた遺骨は取り出し、別の場所へ移して供養すること(改葬)になります。
では、なぜ今墓じまいを考える人が増えているのでしょうか。
①お墓が遠方にある
遠方にあるお墓の維持管理に関わる問題は、多くの家族にとって大きな課題です。
墓じまいを検討する方の中には、お墓が遠方にあるため、守っていくのが難しいことを理由として挙げられる方が多くいます。
現代社会では、仕事や家庭の状況、さらには高齢化など、様々な理由から故郷を離れる人が増えています。
その結果、お墓参りやお墓の維持が難しくなるケースが少なくありません。
このような状況を背景に、墓じまいを検討する方が増えているのは、現代の社会状況を反映していると言えるでしょう。
②高齢になってお墓参りに頻繁に行けなくなった
お墓参りは故人を偲び、家族の絆を確認する大切な行事ですが、高齢になって体力が衰えると、かつては簡単だったお墓参りも大きな負担となり得ます。
特に、自身で運転していた方が運転免許を返納し、公共交通機関や家族の手を借りなければならない状況になると、今までのようなお墓参りの頻度を維持することは困難になります。
お墓が遠方にあるわけではない場合でも、墓所の所有者が高齢になっていくことに伴って、お墓参りへの負担は大きく感じられるようです。
また、実際に何年もお墓参りに行けていないという方も少なくありません。
こういった理由から、墓じまいを検討される方も多いようです。
③お墓を承継する人がいない
家族のかたちの変化と高齢化が進む中で、お墓の維持管理を担う承継者の問題は、お墓じまいを検討する理由の大きな一つです。
核家族や単身世帯が増加し、お墓を維持管理する責任を負える家族の数が減少しています。
また、子どもがいない家庭が増えているほか、子どもがいてもお墓の維持を望まない、または継承する意志がないケースが増加しています。
④ライフスタイルの多様化
人々のライフスタイルの多様化により、伝統的な墓地の維持に対する価値観も変化しています。
移動が多い生活や、環境への配慮など、新しい価値観が墓じまいを選択する理由となっています。
以前は、お盆やお彼岸に家族や親戚が揃ってお墓参りに行くことが当たり前の光景でしたが、今はお墓参りに行ったことがないという人もいます。
そのような現代のライフスタイルや価値観の変化から、今あるお墓をそのままの状態で守っていくことへの義務感が薄れているようです。
墓じまいのメリットとデメリット
今まで先祖代々受け継がれたお墓を墓じまいすることは、とても大きな決断です。
近年、墓じまいをする人が増えてはいますが、墓じまいにもメリット、デメリットがそれぞれあるので、事前に知っておく必要があります。
墓じまいのメリット
経済的負担の軽減
長期的に見た場合、墓地の維持管理には相応の費用がかかります。
墓じまいを行うことで、その負担を軽減できます。
また、お墓の維持管理にかかる費用だけでなく、お墓が遠方にある場合、お墓参りの交通費や宿泊費などの経済的負担がなくなります。
維持管理の手間が省ける
お墓の清掃や草取り、定期的な維持管理の手間がなくなります。
加齢とともに、お墓参りへ行くこと自体が難しくなってきますが、お墓参りに行かないと墓地は雑草や汚れで荒れてしまうため、定期的なお掃除が必要です。
そういった身体的負担がなくなり、お墓の状況を心配をする必要がなくなります。
お墓の承継者問題の不安がなくなる
お墓は、基本的には代々受けつがれていくものです。
ですが、子供がいない家庭や、子供が遠方に住んでいる、子供に負担をかけたくないという理由から、お墓を継ぐ人がいないことを悩まれる方は多いと思います。
お墓じまいするいことで、そういった承継者のことを心配する必要がなくなります。
墓じまいのデメリット
精神的な負担
先祖代々受け継がれたお墓を墓じまいすることは、とても大きな決断です。
長い間家族の絆を象徴してきたお墓を手放すということや、精神的に辛い選択となることもあります。
家族や親族の中には、墓じまいをすることへの抵抗感を持つ人もいます。
故人への思いや伝統への尊重といった、情緒的な側面がデメリットとなることがあります。
お墓の撤去工事や改葬に費用がかかる
既存のお墓には年間管理料や、維持・管理のための定期的なお金がかかるため、墓じまいを検討する方も多くいますが、墓じまいは、墓石を撤去して更地にしなくてはならないため、これに伴う工事費用が発生します。
また、遺骨を移動させる際(改葬)の費用も考慮する必要があります。
墓じまい後の遺骨の行き先(改葬先)として、永代供養墓や納骨堂、樹木葬などを選択する場合、また改葬先での契約に必要な費用なども発生します。
墓じまいは本当に必要なのか
「墓じまい」という言葉を近年よく耳にするため、墓じまいをした方がメリットがたくさんあるように思っている人も多いかもしれません。
墓じまいは、家族の未来を見据え、維持管理の現実を考えた上での選択です。
社会の変化や家族構成の変化に対応した選択と言えるでしょう。
ですが実はこのように、メリットだけでなく、デメリットの面もあります。
墓じまいをする前に、本当に墓じまいが必要かどうか考えることが大切です。
墓じまいは、一度行うと元に戻すことが困難です。
家族がいる方は墓じまいをして後悔しないかどうか、必ず家族と話し合って決める必要があります。
お墓の維持管理やお墓参りに行けなくて墓じまいを検討されている場合は、専門の代行サービスを利用することも一つの解決策です。
最近は、石材店などの専門業者が、お墓の清掃や供養の代行サービスを行っている場合もあります。
墓じまいが必要なのかどうかは、家族の構成や、将来的な考え方によってさまざまです。
メリットもデメリットも考慮したうえで、墓じまいという決断が自分たちの家族に合っているのかどうかを、よく考える必要があります。
墓じまいをする前にしておくべこと
①家族や親戚と話し合う
墓じまいを進める前に、全ての家族が納得できるように十分な話し合いを行うことが大切です。
自分が今お墓の管理者となっていたとしても、一人の勝手な判断で行った場合、後々トラブルになることもあります。
先祖代々受け継がれてきたお墓は、個人のものではなく、親族一同のものであるとも言えます。
自分一人で簡単に選択するのではなく、親族みんなの意見を聞きながら、しっかりと相談し、同意を得られてから進めるようにしてください。
②お寺の同意を得る
既存のお墓が公営霊園や民営霊園の場合は問題ありませんが、寺院墓地で檀家の場合、お寺の許可を取らなくてはいけません。
お寺からすれば、長年お世話をしてきたという思いもあり、墓じまいをして改葬することでトラブルになることもあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、早めにお寺に相談を持ち掛けることが大切です。
時間をかけてゆっくり事情や状況を理解していってもらうようにしましょう。
③墓じまい後の供養方法を考える
既存のお墓に眠っている遺骨を、墓じまいをすることで別の場所へ改葬しなくてはいけません。
改葬先をどこにするか、どのようなかたちで供養していくか決める必要があります。
墓じまい後の改葬先や供養方法についても、一人で決断するのではなく、家族や親戚の意見を聞いて決めていく必要があります。
④墓じまいにかかる費用を把握しておく
既存のお墓の墓石撤去・解体工事費用だけでなく、檀家の場合は離檀料がかかる場合もあります。
また、お墓を撤去する前に閉眼供養といい、僧侶に墓石から魂を抜いてもらう法要をしてもらう必要もあるため、お布施が必要となります。
お骨を移動させた改葬先での契約にかかるお金や、維持・管理費、埋葬料や開眼供養などの費用がかかることも頭に入れておく必要があります。
後になって想定外の金額になって困らないように、数社から見積もりをとったり、事前に詳細まで確認しておくことが重要です。
おわりに
墓じまいは、家族にとって大きな決断となりますが、時代と共に変わる家族構成やライフスタイルの変化、価値観に対応するための一つの選択肢です。
墓じまいには、確かに多くのメリットが伴います。
家族にとっての経済的、精神的な負担の軽減、継承者の不在による将来への不安の解消など、その理由は多岐にわたります。
しかし、この重要な決断を下す前に、深く、そして慎重に考えることが不可欠です。
お墓は単に故人の遺骨を納める場所以上の意味を持ちます。
故人への敬意、家族の伝統、そして個人の信念を反映する象徴的存在でもあります。
墓じまいを検討する際には、故人との関係、家族・親族内の同意、そして墓じまい後の供養方法について、十分に話し合いを重ねることが求められます。
最終的に、墓じまいを選択するかどうかは、家族の未来を見据えた上での決断となります。
墓じまいが終わりではなく、故人を偲ぶ新たな形の始まりとなることを念頭に置き、時間をかけて考え、情報を収集したうえで進めていくことが大切です。
千葉県野田市にある平成東武霊園には、一般墓から永代供養墓まで、多彩な区画の様々なタイプのお墓がございます。
それぞれの家族の価値観や供養の形から選択していただくことが出来ます。
大切な方々と共に、ご先祖様と、これから繋いでいく家族のために最善のお墓・供養の形を選択していただけばと思います。
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